旬食予報｜あんこう

今月の旬食

冬の味覚として欠かせないあんこう。「西のふぐ、東のあんこう」と言われるほど、昔から人々に愛されてきたあんこうは、アンコウ目アンコウ科で、キアンコウ(ホンあんこう)とアンコウ(クツアンコウ)の二種類が有名です。外見は非常に似ていて市場では区別して扱うことは少ないですが、それぞれ別の属に分類されています。味が良いとされるのはキアンコウです。ちなみに食用としては難しいチョウチンアンコウも仲間です。英名は「Angler fish」とも言うように背びれの先端が変化した誘引突起が頭の上からぶら下がり、釣り竿のようにして小魚を誘って捕食する様子はまさに「釣りをする魚」です。あんこうの名前の由来は、漢字で「鮟鱇」と書きますが、海底で獲物をのんびりと釣りをしてエサを待つ姿から「安康」と呼ばれ、それに魚偏をつけた説と魚体がぶよぶよとして、動きが鈍いことから「暗愚魚（あんぐうお）」と呼ばれ、あんこうに転じたという説があります。数多くいる魚の中でも名前と姿形が一致する魚のひとつではないでしょうか。北海道以南の水深30～500mの海底に生息し、日本各地で広く漁獲されています。

美味しいあんこうの目利き

丸ごと1尾ではあんこうの皮が乾燥していない、体表のぬめりが透明でツヤがある状態であれば新鮮な証拠です。触った時にハリが感じられるものが良いでしょう。ただし、あんこうはさばくのに技術（吊るし切り）が必要なため、基本的にはさばかれた状態のものを買うことをオススメします。切り身は透明感があり、淡いピンク色のものを選ぶようにしてください。鮮度が落ちると、身の透明感が無くなり白っぽくなります。そして、あんこうと言えば、「海のフォアグラ」とも称されるあん肝です。あん肝は表皮に張りがあり、全体的にふっくらとして、脂が乗ったもの（部分的にオレンジ色があるもの）を選んでください。乾燥していたり、黒ずんでいたりするものは状態がよくありません。
あんこうの美味しい食べ方

あんこうは捨てるところが無いとまで言われる魚で、頭部と骨以外は全て食べられます。もちろん、骨はとても良い出汁が出ます。身（柳身）・肝臓・胃袋・卵巣（ヌノ）・エラ・ヒレ（トモ）・皮を「あんこうの7つ道具」と呼び、珍重されています。身は淡泊ですが、独特の触感と味わいがあり、汁物との相性が良く、あんこう鍋やどぶ汁は言うまでもありません。その他に唐揚げ、天ぷらなどの揚げ物、共酢・共和え、焼き物やソテーなど和洋中問わず、幅広い調理方法で食されます。あん肝だけでも十分なおつまみになります。
あんこうの栄養価と効果

あんこうのプルプルとした皮やヒレのゼラチン質にはコラーゲンが多く含まれます。身は水分が多く含まれ、みずみずしい身質をしており、脂肪が少なく低カロリーで良質なたんぱく質が摂れます。特にナイアシン（ビタミンB3）など、ビタミン類も豊富に含まれ、血液や代謝をスムーズに体の機能を正常に働かせてくれます。あん肝は100gで400kcalをオーバーするほど高カロリーなため、食べすぎには注意したいですが、ビタミンA・ビタミンB12・ビタミンD・DHA・EPAなどの栄養価が多く含まれています。適度に食せば、中性脂肪を低下させ、動脈硬化や高脂血症を予防し、悪玉コレステロールを減らしてくれます。

参照先：海峡と歴史のまち下関 https://www.city.shimonoseki.lg.jp/soshiki/60/1172.html

旬食情報

今年のあんこうの出荷情報

あんこうは、比較的海の深い部分で生息していることもあり、毎年の気候差などに影響を受けにくく、今年も例年通りの水揚げが全国各地で行われています。海水温の低さから身を守るために、2月あたりがあんこうが最も脂の乗った状態で楽しめると言われており、今が一番の旬と言えます。この時期はなんと言っても、熱々のあんこう鍋で豪快に味わうのが最高！
ウェザーニュース長期予報

12月以降は冬型の気圧配置が持続しやすく、寒気の流れ込みや強い季節風の影響で海面水温が高いエリアが縮小し、山陰沖や東シナ海では一部で平年より低くなっている海域も出てきました。一方、青森県や茨城県沖では下層の暖水の影響で、引き続き高い海水温となっています。一般に流通しているアンコウは、キアンコウとアンコウ（クツアンコウ）の2種類で、名産地近海では海面から水深100mを超える深さまでいずれのアンコウにも生息に適した海水温となっています。

日本全国の気温（平年差）

12月から冬型の気圧配置が強まり、たびたび寒気が流れ込み、季節風が強まったことで、特産地の気温は平年並から平年よりも低い気温となりました。冬型の気圧配置は2月前半まで続き、2月後半からは気温がアップダウンを繰り返すようになり、3月以降は、徐々に春らしい陽気になります。
日本全国の海水温情報

日本近海の海水温は北ほど高く、西ほど低くなっています。北海道南東方、本州東方では、下層の暖水の影響もあり、引き続き広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっています。日本海南部では、海面水温が平年より高い海域が縮小し、平年より低い海域が拡大しました。東シナ海では、海面水温が平年より低い海域が拡大し、平年よりかなり低い海域もみられます。水深100mでもあんこうの適水温となっていました。