丸々と育った たけのこ
春の訪れを告げるたけのこは、竹の地下茎の節から出る若芽のこと。地表にたけのこの先端が少し現れたところを掘り出します。600種以上の竹がありますが、その中で食用になるのは6~7種。一般的に私たちが食べているのは中国・江南地方が原産の孟宗竹(モウソウチク)です。日本には1736年に沖縄から鹿児島へ渡り栽培が始まり、それ以降全国に広まりました。他には、孟宗竹よりも古くから利用されていた淡竹(はちく)や、6月頃に出回る細い根曲がり竹などがあります。主な産地は九州の福岡、鹿児島、熊本ですが、四国地方、京都府、茨城県なども有名です。
まずは皮のうぶ毛を見てください。艶々した褐色の皮で、ずんぐりした中型の重みがあるものを選びましょう。次に穂先を見ます。育ち過ぎた物は黄色より緑がかった色になり、勢いよく伸びています。こうなるとえぐみが強くなるので注意。最後に切り口を見て白くてみずみずしければ新鮮なものです。
たけのこは「朝掘ったら、その日のうちに食べろ」と言われるくらい鮮度が大切。なるべく新鮮な物を選び、すぐに下茹でしてアク抜きをしましょう。すぐに使わないときは、丸ごと茹でて水煮にし、冷蔵庫に保管します。この時に、たっぷりの水に浸し、時々水を取り替えると5日前後は保存できます。
たけのこはビタミンB1,B2のほか、タンパク質や食物繊維が多く含まれています。また、茹でたたけのこの節の間に現れる白い結晶のような物はチロシンといわれるアミノ酸の一種で、老化防止などの効果が。海草、魚介類、肉、卵などさまざまな食材と相性が良く、和食・洋食共に重宝します。
参照先:金沢市中央卸売市場
ここ数ヶ月の好天による気温の高さから、全国的にたけのこの成長が例年よりも約半月程度早く、今年は早いところでは3月の中旬からすでに出荷が始まっています。一般的には4月の初旬からゴールデンウィークあたりまでが食べ頃であるが、今年はシーズンの終わりも前倒しになることが予測されており、お早めの購入をお勧めします。味や出荷量はともに良好で、価格も安定しています。
この冬は暖冬傾向になり、12月~3月の気温は平年より高めとなりました。降水量は少なめか、平年並のところが多くなりました。4月の天気は、春らしく周期的に変化します。気温は平年並。5月は晴れる日が多いですが、下旬になると九州南部は梅雨入りの可能性があります。6月に入ると梅雨前線が北上してきて雨のところが多くなり、上旬に近畿エリアまで梅雨入りの可能性。後半は大雨の恐れがあります。気温は平年よりやや低めとなります。
たけのこの芽の発生において重要とされているのが、前年夏の降水量です。一般的には7~9月に十分な降水があればたけのこの発生数が良いと言われています。データを見てみると、7月は平年を大きく上回る降水量だったのですが、8月の九州エリアは軒並み平年の50%を下回る降水量となっており、発芽にはあまり適していなかったようです。京都のデータを見ると、どの月も平年以上となっていて、こちらは発芽に適した降水量だったと言えます。
たけのこの生育において、もう一つ重要になってくるのが積算気温です。気温のデータは地域や、たけのこの種類によって違うものの、発生時期と発生量は気温に強い相関があるようです。データを見てみると、9月に台風などの影響で気温が一時的に下がっていますが、概ね平年以上の気温となっているのがわかります。たけのこの発生する積算気温には順調に達しているようです。
その他の旬食素材
旬食予報アーカイブ