旬食予報｜もも

俳句の世界で、ももは秋の季語ですが食べ頃の旬は夏から初夏の時期で、お盆のお供え物のイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。日本で食用として本格的に栽培が始まったのは江戸時代から。明治時代に、中国から水蜜桃が輸入されるようになり、それを品種改良したものが現在一般に流通しているさまざまな桃の原型となっています。種類は数え切れないほどありますが、品種の系統で分けると、白鳳系、白桃系、黄金桃系の3つです。主な産地は山梨県、福島県、長野県で、山梨県は全国の3分の1以上を誇る一大産地になります。

ももの栄養素と効能

主成分である果糖はフルクトースとも呼ばれ、砂糖の1.5倍甘味を感じる単糖類。体内で代謝の過程を経ずにエネルギーになるので、疲労回復に即効性のある有効な栄養源です。ももにはペクチンなどの食物繊維も含まれており、水溶性食物繊維は整腸作用があるので、便秘予防に期待できるしょう。
美味しいももの選び方

鼻を近づけて甘い香りが立っているものを選びます。色は全体が紅色に色づき、枝側が綺麗な白色のものを。色づいている部分に白い斑点が表れているのは美味しい印です。大きさは概して大きく、形は縦に伸びる縫合線（割れ目）に対して左右対称のものがおすすめです。
ももの保存方法

未熟でまだ硬いももは、常温でやわらかくなるよう追熟させます。未熟なものを冷蔵庫に入れると追熟せず、そのまま傷みはじめてしまうので注意です。熟して食べ頃の物は冷蔵庫に長時間入れる場合、1つずつ紙に包んでビニールやポリ袋に入れ、野菜庫で保存を。

出荷カレンダー

昨年は、高温による過熟で出荷できないものが多く、降水量が少なく干ばつ傾向であったことから小玉果の発生率が高くなったことにより平年を下回る出荷量となりました。今年については、一部で雹害や凍霜害の発生が見られる産地もありますが、これまで主産地では十分な降水量があり、順調な肥大となっていることから、今後の天候次第ではありますが、前年を上回る出荷量が見込まれています。
ウェザーニュース長期予報

ももの旬である7月～8月の期間の長期予報を見てみます。7月は、平年より曇りや雨の日が多く、日照が少ない見込みです。梅雨明けは平年と同じくらいで、関東甲信で7/19頃。東北南部で7/23頃の予報となっており、梅雨末期の大雨には特に注意が必要です。美味しいももの条件としてはちょっと厳しいものとなりそうです。8月は、太平洋高気圧の日本への張り出しが弱いため、前線や湿った空気の影響を受けやすく、平年よりも晴れる日が少なくなりそうです。しかし気温は平年並みで、夏空が続くタイミングでは甘いももに期待できそうです。

特産地の気温平年差

ももは「休眠打破」という、寒い時期に「気温7℃以下で約900時間以上」の低温にさらされないと発芽や結実に影響が出るそうです。ももの休眠時期にあたる12月～2月の気温は、各特産地ともに平年より高めであったものの、気温7℃以下で900時間は越えており、ももの「休眠打破」には問題がない天候となりました。今シーズンにおける気温7℃以下の時間（休眠期間）は、山梨県（甲府市）：約1402時間、長野県（長野市）：約1959時間、福島県（福島市）：約1844時間となっています。
特産地の日照時間平年差

ももが甘く美味しくなる条件として「昼夜の寒暖差」というのがあります。昼間は日差しが多く、光合成をして糖類をたくさん生成し、夜は気温が低いほど木の活動が抑えられ、糖類の消費もすくなるというわけです。過去3ヶ月の日照時間の平年差を見ると、特産地では平年並み～多いという状況です。そして、ももの旬である7月・8月の期間の寒暖差のランキングにしてみたところ、2位：長野、3位：甲府、11位：福島と、ももの特産地は上位にランクインする結果となりました。甘いももに期待が高まります。さらに、収穫前10日間に晴天が続くと、より甘い果実となります。