縄文時代の貝塚からも骨が出土し、古来から日本人に愛されてきたうなぎ。「万葉集」では大伴家持が「石麻呂に吾れ(われ)もの申す夏痩せによしといふものぞ むなぎ(鰻)とり召せ」と詠んだ歌が残されており、当時からうなぎが滋養強壮に効果のある食材とされてきたことがわかります。江戸時代に学者・平賀源内の発案により「土用丑の日」としてうなぎを売り出したことから、この日にうなぎを食べるようになりました。スーパーなど流通しているうなぎの大半は養殖もので夏のイメージが強いですが、天然ものの旬は8月〜12月。成魚は全長1m、最大で1.3mほどになります。体型は細長く、体の断面は円形で、眼が丸く口が大きいのが特徴です。体表は粘膜に覆われぬるぬるしていますが、皮下に小さな鱗があります。
見た目は背とお腹の色がくっきり分かれ、お腹が太いものを選びましょう。養殖ものに比べて天然ものはお腹の色に黄色味があるとされていますが、餌によっても色や模様が変化することがあり識別は難しいとされています。大きさは150g前後で、それ以上のものは大味に。うなぎは尾を使って泳ぐため、水槽で泳がせているものでは、尾に傷がないものが新しい証拠です。
うなぎといえば蒲焼ですが、さまざまな料理でも楽しめます。たれをつけずに焼いた白焼はあっさりとして、ワサビや大根おろしなどをつけて食べると絶品です。うなぎ屋さんでは他に、肝を吸い物に仕立てた肝吸い、数匹分の内臓を串に刺してたれにつけて焼いた肝焼き、焼いたうなぎの切り身とキュウリなどを使った酢の物うざくなどが提供されています。
脂質20%を含むほか、タンパク質、ビタミンA・B1・B2・D・E、カルシウム、鉄分など栄養満点。特に、粘膜を強化し視覚を正常に保つビタミンAは100gの蒲焼きで2日分が摂れるほど豊富に含まれています。最近注目されているのは、皮下に含まれるコラーゲン。肌の張りはもちろん、粘膜を強化し、血管を柔軟にする働きがあります。
参照先:八面六臂 食材図鑑「ウナギ」 https://hachimenroppi.com/topics/wiki/details/unagi
今年のうなぎは、ここ数年の中では一番安く流通されていると言われています。ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギが豊漁で、漁獲量は前年度から約4.6倍も急増しているからです。土用の丑の日などで出荷のピークを迎える今年の7月と8月の期間では、去年より約1割安く販売されていたとの報告もあります。うなぎはシラスウナギの豊漁に関する原因は分からない状態ではありますが、是非このチャンスをお見逃しなく!
うなぎは水温が10℃以下になると餌を食べなくなり、8℃以下では冬眠します。冬眠から覚める2~3月は平年よりも高めの気温となりました。4月と7月にやや日照が不足し、気温が低めとなりましたが、それ以外の月は平年よりも高めで推移し、うなぎの食欲に影響するような水温低下は見られませんでした。秋は晴れと雨を繰り返す「周期変化」の天気となりそうです。10月は台風の接近に注意が必要。12月に入ると、冬型の気圧配置で太平洋側は冬晴れのところが多くなりそうです。
2020年は4月に寒気が入った影響で気温が低めとなりました。7月は梅雨前線が停滞して、曇りや雨の日が多く日照不足となり、北からの冷たい空気の流れ込みもあったため平年よりやや低めの気温となりました。それ以外の月は平年を大きく上回る気温となり、美味しいうなぎが生育する天候で経過しました。
7月に活発な梅雨前線が停滞して全国的に雨量が増加しました。9月は台風の影響で西日本を中心に、平年を大きく上回る雨量となりました。10月も台風の心配はありますが、秋は晴れと雨が繰り返す周期変化となります。この先うなぎが冬眠する時期にかけて、比較的安定した天候となり気温も高めに推移するため、脂がのった美味しいうなぎに期待できそうです。
その他の旬食素材
旬食予報アーカイブ