旬食予報｜ふぐ

今月の旬食

日本で獲れるトップクラスの高級魚といえば、まるまるとしたフォルムが愛らしいふぐ。ふぐの旬は秋のお彼岸から春のお彼岸までと言われています。ふぐと一言で言ってもさまざまな種類があり、世界には約100種類、日本でも約50種類が確認されています。そのうち、日本で食用として食べられるのは現在22種類。中でもふぐの王様と称されるトラフグは天下一品の美味しさです。天然のトラフグと養殖のトラフグの見分けるポイントは尾びれ。天然の尾びれは養殖に比べて大きくて長く、綺麗な色をしています。身の食感の違いで判断することもでき、天然の身はコリコリとした食感なのに対して、養殖の身は若干柔らかいのが特徴。精巣である白子も、天然は弾力があるのに対して、養殖は柔らかいです。

家庭でも楽しめるふぐちり

ふぐちりは高級料理と捉えられがちですが、実は家庭でも手軽に作ることができます。昆布出汁の入った鍋に、野菜や豆腐などのお好みの具材とふぐの切り身を入れて煮込むレシピが一般的です。〆は、ふぐのうまみが溶け込んだ出汁にご飯を入れて卵でとじていただくふぐ雑炊がおすすめ。最後の汁一滴まで、余すことなくふぐの味わいを堪能できます。
ふぐ刺しの正しい食べ方

食べる芸術品ともいえるふぐ刺し。豪快に何枚もすくって食べるのが夢だという人もいますが、実は文化も品位も無視した食べ方なので注意！ふぐ刺しは皿の中央からいただくのが正しい食べ方です。1枚ずつではなく2〜3枚を箸ですくうように取り、添えてあるネギを巻いてお好みの薬味をあわせたポン酢で食べると、ふぐ独特の歯ごたえと旨みが楽しめます。
ふぐの栄養素と効果

ふぐに含まれるカルシウムやマグネシウム、リンは健康な歯や骨をつくるうえで欠かせない栄養素。また、疲労回復や高血圧を改善する効果が期待できるタウリンも豊富です。骨や皮の周りのコラーゲンやナイアシンには、シミ・しわを防ぎ、肌にハリと弾力をもたらすと言われています。おいしく食べながらキレイになれる一石二鳥な食材です。

参照先：ふぐマガ https://www.fugu-sakai.com/magazine/

旬食情報

今年のふぐの出荷情報

新型コロナウィルスの影響が続く中、飲食店や旅館での需要が減少していることもあり、市場では全体的に安値で取引されています。天然ふぐの漁が解禁された9月下旬、台風などの影響で漁に出られなかった地域もあるようですが、これからの出荷量は安定する見込みです。ふぐは全国的に2000年あたりから漁獲量は減少傾向にありますが、ノウハウの蓄積により品質は高くなっていると言われています。比較的安価で食べられる今年は、ふぐを堪能するまたと無いチャンスです！
ウェザーニュース長期予報

8月は猛暑のところが多く、9月に入っても気温は高めでした。その後、順調に秋らしい気候に変わり、天気は晴れと雨を繰り返す周期変化となりました。11月下旬以降は冬型の気圧配置が増えて、特産地では曇りや雨の日が増えてきます。12月は雪の日が多く「年末寒波」の恐れもありそうです。1月は、特に北陸以北で大雪の可能性があります。

「石川・北海道・島根」特産地の気温（平年差）

7月は梅雨前線が停滞をして、曇りや雨の日が多く気温が平年よりも低めとなりました。8月～9月は平年を大きく上回る気温となり、特に9月上旬には、暖かく湿った空気が入り込み平年よりも気温が高くなりました。その影響で北海道から石川にかけての海域では水温も高めとなりました。
「石川・北海道・島根」特産地近海の海水温情報

ふぐは種類によって適した水温は異なりますが、生存水温は14℃以上となります。北海道から石川にかけての水域（図中B）は、平年よりもかなり高い海域が広くみられました。9月上旬に暖かく湿った空気が流れ込み、海水温が高い状態が続きました。9月中旬以降は風が強く吹き、海水温が平年よりかなり高い海域は縮小しました。ふぐは適した水温をもとめて、水深を変えて生きていますが、水深が50mくらいでも問題のない海水温だったので、ふぐにとって良い条件の海水温だったといえます。