日本で「さけ」と呼ばれる魚には、季節などにより様々な種類がありますが、一般的に食べているさけは「シロザケ」です。北海道沿岸の川には9月頃から、本州には11~12月頃を中心に産卵のために遡上して来るものを「アキアジ」と呼びます。岩手県の南部、陸中海岸の川で捕れる雄鮭は鼻が大きく曲がっているので、「南部の鼻曲り」として有名です。ギンザケは比較的価格が安定的でおにぎりの具などに、ベニザケは身の色目が鮮やかで塩焼きなどにおすすめです。キングサーモンは日本産が非常に少ないですが、脂身たっぷりでまさにキングの味わいです。
さけにはビタミンEの1,000倍の抗酸化力を持つアスタキサンチンがたっぷりと含まれています。さらに鮭の皮はコラーゲンそのもので、吸収率や純度が高い上質なコラーゲンなのです。また、皮のすぐ下の脂質には、血液をサラサラにするDHAやEPAといった不飽和脂肪酸が大量に含まれています。
皮の色がきれいで、肉がしまって弾力があり、身が崩れていないものを選びましょう。身がふっくらと盛り上がって見える、水分が出過ぎておらずに表面だけが潤っている物が、脂の乗りや食感もしっかりとしていて食べごろです。パックに入っている時はドリップが出ていないものを選びましょう。
残念ながら国産の天然鮭は寄生虫を多く潜んでおり、完全な冷凍処理を施して寄生虫を死滅させないと生で食べることはできません。現在回転寿司、刺身盛合せ等に使用されているのは、さけの養殖化が成功したもの。寄生虫が体内に宿らないさけの誕生により、生鮭が食べられるようになりました。
参照先:みなとのギョギョっと食べやさい
シロザケは3~5歳になると母川に回帰しますが、ここまでのところ北海道~三陸近海の表面水温が高い事が原因か、全体的には不漁となっている模様です。北海道を海区別に見てみると、オホーツク、根室、えりも以東・以西いずれも2~3割減、日本海のみ2割増となっており、「稼ぎ頭」の地域の不漁が著しいために、その影響は大きなものとなっています。対照的に、ロシア極東部では今年は豊漁となっています。
11月以降は、次第に冬型の気圧配置が増えてきます。しかし、寒気の流れ込みは平年より弱い見込みで、気温は平年よりもやや高めのところが多くなります。太平洋側では、平年と同じくらい晴れの日が多く、日本海側は、平年より曇りや雪の日が少なくなる予想となっています。
鮭の漁場近海の海水温は、ほとんどのところで平年より高くなっています。しかし平年よりも高いエリアは、縮小傾向になっています。北海道周辺の海域はすでに海面水温が15℃以下になっており、海水温自体は、鮭の回遊に問題ない水温になってきています。11月の予想としては、平年並~平年よりもやや高めの海水温で推移する予想です。
どの産地も9月の降水量は少なかったが、10月は台風や秋雨前線の影響で降水量がかなり多い月となりました。青森県や岩手県では、台風19号による記録的な大雨となり、岩手県では平年の2倍、青森県では平年の3倍を上回る降水量となりました。気温は、すべての産地で平年よりも高く、近海の海水温への影響があったと思われます。
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