たいは北海道から朝鮮半島、中国東シナ海、台湾などで漁獲される大型魚。成長すると1mを超える大きさになり、大型のものほど高級です。昔は西日本に多く、東日本に少ないというイメージでしたが、東北などでも水揚げ量が増えています。魚へんに春と書くことから、代表的な春の魚のように思われがちですが、たいの旬は地域によって異なります。駿河湾から北では晩秋から冬が旬といわれ、「寒たい」として好まれています。一方、瀬戸内や関西では春に好んで食される、文字通り「春告げ魚」として西日本の食文化に根付いています。淡白な味のタイに対して、たいは脂ののった濃い味が特徴です。瀬戸内海で漁れるものは、タイと比較されるほど美味しいといわれ、熟成したたいの刺身はまぐろのトロのような味わいが楽しめます。
表体の色が鮮やかな赤で、コバルトブルーの斑紋がはっきりしているものを選びましょう。目が青く澄み、エラが鮮紅色であるもの、触って身がしっかりしていることも重要です。切り身は血合いの赤が鮮やかで白身に透明感のあるものが新鮮です。「腐っても鯛」といわれるように味が落ちにくい魚ですが、やはり鮮度が高いもののほうが美味です。
刺身、塩焼き、煮付け、鯛飯などさまざまな調理方法で美味しく食べられるのがタイの魅力。大型のものはシンプルに刺身に、中~小型のものは皮を生かして皮霜造りにするのがおすすめ。塩焼きは、身がしっとりしていて甘みがあり、皮や骨の間の身も絶品。タイの骨で出汁を取り、酒と塩で味つけして、身を煮ながら食べるちり鍋は、出汁も身も格別です。
タイはたんぱく質の構成物質であるアミノ酸のうち、旨みの強いイノシン酸を豊富に含んでいます。タンパク質が多く、低脂肪・低カロリーのタイはご年配の方や離乳食にも重宝する万能食材。エネルギー代謝を活発にするクレアチンも豊富で、筋肉の持久力向上や疲労回復に効果があるといわれており、激しい運動をする人や筋肉をつけたい人にもおすすめです。
引用:市場魚貝類図鑑、出典:大阪市水産物卸協同組合ホームページ
https://www.zukan-bouz.com/syu/マダイ
産卵期直前のマダイが「桜鯛」「花見鯛」と言われるように、通年では、早春が最もたいが美味しいとされていますが、今年度はあらゆる地域で平均気温が最高記録レベルで推移しているため、たいの旬も例年よりも早いことが予測されています。飲食店やスーパーマーケットでも、2月の中頃からチェックしておくことをお勧めします。
2023年は春から秋にかけて気温の高い状態が続きました。日本近海も記録的な高温となりました。名産地近海では引き続き、平年より高い海水温が続く見込みです。日本海の一部では鯛の適水温15℃~25℃をやや下回る海域もありますが、名産地近海は広範囲で適水温が維持される予想です。
2023年は記録的な猛暑でしたが、10月に入ると猛暑のピークを越え平年並み~やや高い気温が続きました。東シナ海では、寒気が弱かったことや平年より風が弱かったこと、加えて日射量が多かった影響で、1月は平年よりかなり高い気温となりました。
日本海南部や東シナ海南部の各海域の海面水温は、解析値のある1982年以降で、12月として最も高くなりました。その後、平年よりかなり高い海域は縮小したものの、名産地近海では平年より海水温が高い状態は続いています。兵庫県沖など一部の海域で鯛の適水温より低い所もありますが、福岡・長崎の周辺は広範囲で適水温となっています。
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