安くて美味しい食卓の味方の魚と言えば、いわし。いわしは骨が貝塚から複数発見されていることから、縄文時代にはすでに食べられていたと言われています。年中スーパーマーケットなどで見かけますが、旬は梅雨時。梅雨に入ると、全国に美味しいいわしが届けられています。日本ではマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの3種類が代表的な種類として親しまれていますが、この時期に旬を迎えるのはマイワシです。旬のマイワシはとろけるような舌触りで刺身にも向いています。3種の中では最も大きく成長する品種で、大物になると30cmを超えることも。いわしは回遊魚で、沖縄を除く日本全国に生息。代表的な産地としては茨城や三重、千葉などが挙げられます。とくに茨城県は生しらすが食べられる産地としても有名です。
鮮度が落ちやすいいわしで注目したいのは目の色です。鮮度のよいいわしの目は黒く澄んでおり、鮮度が落ちるほどに赤く変色していきます。次に見るべきはうろこ。いわしのうろこは剥げやすいので、うろこが残っていることが間接的に水揚げから間もない証。また、頭が小さく身がふっくらと張りのあるいわしのほうが脂ののりもよく美味しいと言われています。
いわしは傷みやすい魚の代表格。そのため食べきれない分は、冷凍保存して鮮度をキープするのがおすすめです。冷凍保存する際には、まず下処理を。内臓や血が残っていると腐敗の原因になるため、血合いまでしっかりと取り除きましょう。下処理後はラップや密閉可能なフリーザーバッグなどに入れて保存をすると約2週間美味しくいただけます。
いわしの特徴は、DHAとEPAをバランスよく含んでいることです。DHAやEPAには、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす働きがあるほか、脳や神経組織の発達にもよい影響を及ぼすことが知られています。また、カルシウムも豊富です。カルシウムの吸収率をアップさせるビタミンDも含んでいるため、カルシウムを効率よく摂取できます。
近年日本列島の周辺では、いわしの水揚げ量が好調な港が多く見られ、今年もその流れが継続することが予測されます。マイワシが多くなりすぎて、サバ、イカ、サンマなどが漁場から追いやられているとの報道もあり、地域によっては大きな問題に発展しています。今後いわしは旬を迎えますが、より安価で美味しく食べられる、ベストシーズンが予測されます。
名産地近海は昨年の秋以降、下層の暖水や黒潮の暖水の影響で、平年より海水温が高い状態が続いています。今年の春は寒気の流れ込みが弱かったため、気温が平年よりかなり高く、高い海面水温を保つ天候が続きました。5月にかけて平年より海水温が高い状態が続く予想です。6月の中旬以降、曇りや雨の日が多くなり梅雨入りする見込みです。
1月までは強い寒気が入り込み、日本海側では平年よりも気温が低くなったところもありました。太平洋側では冬晴れが多くなり、日照時間も平年並みかそれ以上となりました。特産地は安定した天気で、3月以降は風も弱く、平年を大きく上回る高い気温となっています。
特産地近海の海水温は、昨年の秋以降、平年より高い状態が継続しています。海水温が高い理由としては、本州の東にある下層の暖水の影響で、茨城県沖、宮城県沖は平年よりもかなり高めとなっています。
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