亜熱帯域をのぞく日本列島全域に生息するタイ。タイの中でも姿・色・味と三拍子そろったマダイは、お正月やお祝い事、お食い初めの時にも提供される、古くからお祝いの席に欠かせない高級魚として日本人に親しまれてきました。マダイの産卵期は海域によって差があり2月頃から6月頃。旬の時期は産卵期直前の桜の季節と言われ、この頃のタイを「桜鯛」と呼び珍重します。産卵後しばらくは脂が落ちてしまいますが、秋ごろにはまた美味しい状態に戻ります。日本各地で漁れる天然のマダイの中でも兵庫県明石の「明石鯛」、徳島県の「鳴門鯛」、神奈川県の「佐島鯛」などが有名です。天然か養殖によって値段が大きく異なりますが、天然で丁寧に取り扱われた活けじめのものは非常に高値で取引されます。
表体の色が鮮やかな赤で、コバルトブルーの斑紋がはっきりしているものを選びましょう。目が青く澄み、エラが鮮紅色であるもの、触って身がしっかりしていることも重要です。切り身は血合いの赤が鮮やかで白身に透明感のあるものが新鮮です。「腐っても鯛」といわれるように味が落ちにくい魚ですが、やはり鮮度が高いもののほうが美味です。
刺身、塩焼き、煮付け、鯛飯などさまざまな調理方法で美味しく食べられるのがタイの魅力。大型のものはシンプルに刺身に、中~小型のものは皮を生かして皮霜造りにするのがおすすめ。塩焼きは、身がしっとりしていて甘みがあり、皮や骨の間の身も絶品。タイの骨で出汁を取り、酒と塩で味つけして、身を煮ながら食べるちり鍋は、出汁も身も格別です。
タイはたんぱく質の構成物質であるアミノ酸のうち、旨みの強いイノシン酸を豊富に含んでいます。タンパク質が多く、低脂肪・低カロリーのタイはご年配の方や離乳食にも重宝する万能食材。エネルギー代謝を活発にするクレアチンも豊富で、筋肉の持久力向上や疲労回復に効果があるといわれており、激しい運動をする人や筋肉をつけたい人にもおすすめです。
引用:市場魚貝類図鑑、出典:大阪市水産物卸協同組合ホームページ
https://www.zukan-bouz.com/syu/マダイ
タイといえば正月やお祝いで食べる高級魚というイメージですが、今年のマダイは需要の激減が原因でとても安価で市場に出荷されており、普段は有名料理店に卸されるような上質なものでも、ごく一般的なスーパーマーケットでお買い得な価格で並んでいたりすることもしばしば見受けられます。みなさん、是非美味しいタイを沢山食べて応援しましょう!
2020年の秋は気温が高く、平年よりも風が弱かったこともあり、初冬の特産地近海の海面水温は平年よりも高く推移しました。12月中旬以降は「寒気の流れ込み」と「強い冬型による強風」で海水温が高いエリアは次第に縮小しました。2月にかけては、曇りや雨、雪の日が多くなり、3月以降は、天気は周期変化しながらも晴天が多く、平年並み~高めの気温が予想されています。
11月は平年よりも風が弱く、寒気の流入が少なく気温が高くなりました。12月中旬以降は、寒気が流れ込み強い冬型の気圧配置となり、気温は平年よりも低くなりました。それにより海面水温は、平年並み~低めとなっていますが、タイの生育に影響するほどではありません。
特産地の近海では海水温が16℃くらいになっており、マダイが活動する適水温になっています。18℃を超えると餌を求めて活発に動き回るようになります。逆に12℃より低くなると食欲が低下し、動きが鈍くなります。2月以降は気温が平年並み~高めに推移する予報なので、これからの季節が本格的な旬と言えるでしょう。
その他の旬食素材
旬食予報アーカイブ