アスパラガスの原産地は南ヨーロッパからロシア南部で、古くから自生していたと言われています。少なくとも紀元前200年頃にはギリシャやローマで栽培が行われ、食用のほかに薬としても利用されていました。日本へは江戸時代後半に観賞用として伝来。明治時代初期の北海道開拓にともなって食用の種子を導入しました。普段私たちが食べているアスパラガスは、土から顔を出した若い茎の部分です。これを収穫せずに放っておくと、成長して細い葉のようなものがたくさん出てきます。葉に見えるものは、偽葉(仮葉)と呼ばれる枝です。葉はどこにあるかというと、はかまと呼ばれる三角形の部分。本来の葉は退化してあのような形になっています。食べるときは根元1~2cmほどを切り落とし、ハカマは包丁でそぎ落とします。根元部分がかたい場合は、ピーラーなどで皮をむいてから茹でるとよいでしょう。
茎が太めでまっすぐと伸びて張りがあり、みずみずしいものが美味しい証拠です。鮮度が落ちていたり、成長しすぎると穂先が開いて味や食感が落ちます。穂先は開いておらず、ほどよく締まったものを選びましょう。ハカマの形は正三角形のものが生育状態がよいとされ、同じ大きさであれば重みのあるほうが良品です。
新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。あまり日持ちはしないので2~3日中に食べきりましょう。食べきれない場合はかために茹でて冷凍します。冷凍をすれば栄養と甘みをキープしたまま保存することができます。ラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍したものは1ヶ月を目安に使いましょう。
抗酸化作用のあるβカロテンや、造血作用のある葉酸、高血圧予防によいとされるカリウムなどが含まれます。またアスパラギン酸というアミノ酸も豊富で、新陳代謝を促し疲労回復に効果があり、スタミナアップに役立つでしょう。穂先には毛細血管を強くし高血圧予防の効果があるといわれるルチンが含まれています。
野菜ナビ「アスパラガス」
https://www.yasainavi.com/zukan/asparagus.htm
【北海道】全道的に融雪が早く進んだこと、また気温も高いことから、生育は並~やや早が見込まれます。北海道の露地アスパラは、やや早めの5/10前後の予想です。
【佐賀県】1月以降平年より気温も高く、出荷も順調で例年並みの出荷量が見込まれています。冬場の株養成が順調に行われており、産地の声を聞くと、食味はとても美味しいとのことです。
【長野県】3月中旬以降は気温上昇と適度な降雨もあり、ここ数年と比較すると順調な出荷となっています。5月についても、昨年よりも順調な出荷が見込まれています。
美味しいアスパラガスになるには「十分な冬の寒さ」と「光合成による栄養の蓄積」が必要となります。昨年の秋~冬は、名産地の気温は平年より高めだったのですが、アスパラにとっては十分な冷え込みがあり、平年を上回る日照もあり、甘くてまっすぐな良いアスパラに育つ条件となりました。5月の天候は、晴れる日は多いですが、寒暖差が大きくなったり、寒気の影響で雷雨が起こりやすい時期があります。6月に入ると、北海道以外、梅雨入りをして曇りや雨の日が多くなります。
アスパラガスがまっすぐ美味しく育つためには、冬の低温に一定期間さらされる必要があります。低温期間が足りないと、しっかり休眠打破できず曲がったアスパラガスが増えてしまいます。各産地の代表都市で11月~1月に5℃以下になった時間をカウントしたところ、【北海道(札幌市)】1777時間 【佐賀県(佐賀市)】566時間 【長野県(長野市)】1424時間と、暖冬傾向でしたが、しっかりと休眠打破でき美味しいアスパラガスが育つ気温を満たしていました。
アスパラガスは、冬に養分を蓄えた地下茎から春に若い茎が出て、それを収穫するので日照がよく光合成をしっかりできるほど、栄養を蓄えることができ、甘く美味しくなります。北海道は強い冬型の影響で、平年より日照が少ない月もありましたが、3月以降は日照時間が平年より長くなっています。それ以外のエリアも平年以上に日照時間が多く、光合成が十分に行われ、栄養たっぷり、色づきの良いアスパラガスに期待できそうです。また、アスパラガスは夜に冷え込むと糖を蓄えようとするので、最高の収穫のタイミングは、晴れて放射冷却が効いた寒暖差の大きい日となるのでチェックしてみてください。
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